親族の結婚式に着物で参列する際の格式とマナー完全解説

結婚式で親族が着る着物の選び方

結婚式に親族として参列する際、着物選びは多くの方が悩むポイントです。新郎新婦との関係性や既婚・未婚の別、年齢によって適切な着物が異なるため、「親族の結婚式に訪問着を着ていくのは失礼になるのか」「甥や姪の結婚式に50代、60代の女性はどんな着物を選べばよいのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。特に未婚の兄弟姉妹が結婚式に着る着物や、既婚女性の親族が選ぶべき着物の種類、色無地が適切かどうかなど、判断に迷うことがあります。また、着物をレンタルする場合の選び方や、いまどきの姪の結婚式では着物と洋服どちらを選ぶべきかなど、考慮すべき点は様々です。この記事では、親族が結婚式に着物で参列する際の基本的な知識から、立場別の着物選びのポイントまで、詳しくご紹介します。新郎新婦に恥をかかせないよう、適切な着物選びで晴れの日を美しく彩りましょう。

この記事のポイント

親族の立場（母親、祖母、叔母、姉妹、いとこなど）によって着るべき着物の種類が異なること
黒留袖と色留袖の違いや、未婚・既婚の女性がそれぞれどのような着物を選ぶべきか
紋の数（五つ紋、三つ紋、一つ紋）によって着物の格式が変わること
結婚式に親族として着物で参列する際の小物選びや着こなしのマナー

結婚式で親族が着物を選ぶ基本

結婚式に親族として参列する際、着物選びは非常に重要です。親族の着物は単なる装いではなく、新郎新婦への敬意と祝福の気持ちを表現する大切な要素となります。

まず知っておきたいのは、親族の着物選びには「格式」という概念が存在することです。結婚式では新郎新婦との関係性によって、着るべき着物の種類が異なります。最も格式の高い着物は「黒留袖」で、これは主に新郎新婦の母親や祖母が着用します。黒留袖は既婚女性のための第一礼装であり、背中、両袖、両胸に家紋が入った「五つ紋」が基本となります。

一方、姉妹やいとこなどの比較的若い親族は「色留袖」を選ぶことが多いです。色留袖は黒以外の色で、未婚既婚を問わず着用できる特徴があります。色留袖の場合、紋の数によって格式が変わり、五つ紋なら第一礼装、三つ紋なら準礼装、一つ紋なら略礼装となります。

親族の着物選びでは、自分の立場より格上の着物を着ないことも大切なマナーです。例えば、叔母や姉妹が母親より格式の高い着物を着ることは避けるべきでしょう。また、着物を選ぶ際は季節感も考慮します。春夏はクリーム色や淡いピンク、水色などの明るい色を、秋冬は藤色や深緑色、赤茶色などの深みのある色を選ぶと良いでしょう。

着物の柄も重要な要素です。結婚式という晴れの場にふさわしい、吉祥文様や有職文様などのおめでたい古典柄を選ぶと間違いありません。また、年齢に合わせた柄選びも大切で、若い方は華やかな大柄、年配の方は控えめな小柄が適しています。

このように親族の着物選びは、立場や年齢、季節などさまざまな要素を考慮する必要があります。しかし、これらの基本を押さえておけば、結婚式で恥ずかしい思いをすることなく、新郎新婦を美しく引き立てる装いができるでしょう。

親族結婚式訪問着失礼になる場合

結婚式に親族として参列する際、訪問着を選ぶことが失礼になる場合があります。これは日本の伝統的な着物のマナーに関わる重要なポイントです。

訪問着は色留袖よりも格式が低い着物とされています。そのため、親族が訪問着を着用すると、ゲストと同格になってしまい、新郎新婦への敬意を十分に表せないという考え方があるのです。特に新郎新婦の母親や祖母など、近い立場の親族が訪問着を着ることは、一般的にはマナー違反とされています。

訪問着と留袖の最も大きな違いは柄の位置です。訪問着は裾だけでなく上半身にも柄が入っているのに対し、留袖は裾周りにのみ柄が入っています。この違いが格式の差を生み出しているのです。また、訪問着は比較的派手な柄や色が特徴で、普段使いもできる汎用性の高い着物です。一方、留袖はより格式が高く、厳正な場で着用するための特別な着物とされています。

ただし、最近では訪問着でも紋をつければ大丈夫という考え方や、遠い親族であれば問題ないという風潮も出てきています。しかし、訪問着に紋を入れると着られる場面が限られてしまうため、多くの方はわざわざ紋入りの訪問着を用意しません。また、レンタルの訪問着には紋がついていないものがほとんどなのも現実です。

地域や家庭によって訪問着に対する格の解釈が異なる場合もあります。自分の家庭では問題ないと思っていても、相手側の家庭ではマナー違反と捉えられることもあるのです。そのため、カジュアルな結婚式や友人だけの披露パーティーなら無紋の訪問着でも問題ありませんが、格式の高い会場での結婚式なら、親族としては礼装となる色留袖を着ていくほうが無難でしょう。

結婚式は新郎新婦の特別な日です。主役である新郎新婦が恥をかいたりしないように、親族の結婚式に出席するのであれば、やはり色留袖を選んだほうが良いのではないでしょうか。特に両家の親族が集まる場では、着物の格式を揃えることで調和のとれた美しい光景を作り出すことができます。

結婚式着物親族未婚の場合の選択

結婚式に親族として参列する未婚女性の着物選びは、年齢や新郎新婦との関係性によって大きく変わります。適切な着物を選ぶことで、晴れの日をより美しく彩ることができるでしょう。

未婚の親族が結婚式に着る着物として、まず考えられるのは「振袖」です。振袖は未婚女性の第一礼装とされ、20代前半までの若い女性に特に適しています。華やかな色柄が特徴で、結婚式の場を明るく彩ってくれます。しかし、振袖は若い女性向けに作られているため、30歳前後までと考えるのが一般的です。

30歳を超えた未婚の親族はどうすれば良いのでしょうか。ここで登場するのが「色留袖」です。色留袖は昔は既婚女性の着物でしたが、現在では未婚既婚を問わず着用することが一般的になってきました。その背景には男女ともに晩婚化が進み、未婚率も高くなったことが挙げられます。30歳を過ぎても未婚というのは当たり前の時代になり、そうなると未婚女性の第一礼装は振袖だけでは対応できなくなってきたのです。

未婚の親族が色留袖を着る場合、紋の数にも注意が必要です。昔は黒留袖と同格になるように五つ紋を入れるのが一般的でしたが、最近では三つ紋を入れて準礼装として装うケースが多くなっています。これにより、結婚式以外の場面でも着用できる汎用性が生まれます。

色留袖の色選びも重要なポイントです。20〜30代の未婚女性なら、明るめのピンクや水色などの若々しい色が適しています。また、比翼仕立て（ひよくじたて）であることも必要です。これは衿・袖口・おくみ・裾部分など、外から見える部分に白い生地を縫い付けて、重ね着しているように見せる仕立て方で、お祝い事が重なりますようにという意味も込められています。

未婚の親族が結婚式に着物で参列する際は、自分の年齢や立場に合った選択をすることが大切です。振袖を卒業した年齢なら色留袖を、より格式を重んじる場面では三つ紋の色留袖を選ぶことで、新郎新婦を美しく引き立てる親族としての役割を果たせるでしょう。

兄弟結婚式着物未婚の立場別選び

結婚式に兄弟姉妹として参列する未婚の方の着物選びは、性別や年齢、そして新郎新婦との関係性によって異なります。それぞれの立場に合った適切な着物を選ぶことで、新郎新婦の特別な日を美しく彩ることができます。

まず、未婚の姉妹の場合を見ていきましょう。20代前半までの若い女性であれば、振袖を着用するのが一般的です。振袖は未婚女性の第一礼装であり、華やかな色柄で結婚式の場を明るく彩ります。ただし、振袖は若い女性向けの着物であるため、30歳前後を目安に卒業を考えるのが良いでしょう。

30代以降の未婚の姉妹は、色留袖を選ぶのが適切です。色留袖を着る場合は、三つ紋（背中と両袖に紋を入れる）の準礼装が一般的です。五つ紋にすると母親の黒留袖と同格になってしまうため、控えめな三つ紋を選ぶことで敬意を表します。色選びも重要で、30代前半なら明るい水色やクリーム色など大人の女性らしい色を、30代後半から40代にかけては少し落ち着いた色合いを選ぶと良いでしょう。

一方、未婚の兄弟の場合はどうでしょうか。男性の和装は基本的に「紋付羽織袴」となります。黒や濃紺の羽織に五つ紋を入れ、袴を合わせるのが正式な装いです。若い兄弟なら明るめの色の羽織を選んでも良いですが、あくまで新郎を引き立てる役割であることを忘れないようにしましょう。

いとこなど、より遠い親族の立場にある未婚の方の場合は、さらに控えめな装いが求められます。女性なら一つ紋の色留袖や紋付きの訪問着、男性なら紋付きの羽織袴を選ぶのが適切です。いとこは比較的遠い親族のため、三つ紋や一つ紋の色留袖を選ぶのが適切です。訪問着も選択肢ですが、親族席にいる場合は色留袖の方が無難です。

結婚式に兄弟姉妹として参列する際は、新郎新婦との関係性を考慮した上で、自分の年齢や立場に合った着物を選ぶことが大切です。特に未婚の場合は、振袖から色留袖への移行時期や、紋の数など細かなマナーにも気を配ると良いでしょう。また、両家の親族の装いの格を揃えることも重要なので、事前に新郎新婦や両家の親に確認することをおすすめします。

結婚式親族着物レンタルの活用法

結婚式に親族として参列する際、着物をレンタルすることは非常に実用的な選択肢です。着物は購入すると高額になりがちですが、レンタルなら比較的リーズナブルな価格で格式高い装いができます。ここでは、結婚式の親族が着物をレンタルする際の活用法について詳しく見ていきましょう。

着物レンタルの最大のメリットは、コストパフォーマンスの高さです。黒留袖や色留袖は高級な着物であり、購入すると数十万円から百万円以上することもあります。しかし、レンタルであれば1万円台から3万円程度で借りることができるため、経済的な負担が大幅に軽減されます。また、着用頻度が少ない場合は、保管スペースや手入れの手間も考えると、レンタルの方が合理的と言えるでしょう。

着物レンタルを利用する際は、まず自分の立場に合った着物を選ぶことが重要です。母親や祖母なら五つ紋の黒留袖、既婚の姉妹や叔母なら黒留袖か色留袖、未婚の姉妹やいとこなら色留袖や振袖が適しています。レンタル店では、これらの着物が豊富に揃っているので、自分の年齢や好みに合ったものを選べます。

レンタル期間は通常3泊4日程度が一般的で、結婚式の前日に受け取り、翌日返却というスケジュールが組めます。最近では往復送料無料のサービスを提供している店舗も多く、自宅で試着してから結婚式に臨めるのも大きな利点です。

着物だけでなく、帯や小物もセットでレンタルできるのも魅力的です。帯締めや帯揚げ、草履やバッグなど、着物に合わせた小物を一式借りられるので、コーディネートの心配もありません。中には髪飾りやかんざしまでセットになっているプランもあり、トータルコーディネートが可能です。

また、着付けサービスを提供しているレンタル店も多いです。プロの着付け師に着付けてもらえば、美しいシルエットで一日過ごせます。自宅への出張着付けサービスを利用すれば、当日の移動も着物姿のままでスムーズに行えるでしょう。

レンタル着物を選ぶ際のポイントとしては、結婚式の時期や会場の格式も考慮すると良いでしょう。春夏の結婚式なら明るい色の色留袖、秋冬なら深みのある色を選ぶと季節感が出ます。また、格式の高い会場での結婚式なら、しっかりとした紋付きの留袖を選ぶことをおすすめします。

このように、着物レンタルは結婚式に親族として参列する際の強い味方となります。経済的負担を抑えながらも、晴れの日にふさわしい装いができるので、ぜひ活用してみてください。

着物で親族の結婚式に参列する際の注意点

結婚式着物親族色無地の選び方

結婚式に親族として参列する際、色無地は留袖や訪問着と並ぶ選択肢の一つです。色無地とは、その名の通り一色で染められた無地の着物のことで、紋を入れることでフォーマル度が高まります。親族の立場で色無地を選ぶ際のポイントを詳しく見ていきましょう。

色無地の最大の特徴は、シンプルながらも上品な印象を与えることです。柄がないからこそ、着る人の品格や佇まいが際立ちます。結婚式という晴れの場で親族が色無地を着ることで、控えめながらも格式ある装いを実現できるのです。

親族が結婚式で色無地を着る場合、まず重要なのは紋の数です。色無地に紋を入れることで礼装としての格が上がります。母親や祖母など、新郎新婦に近い立場の親族は五つ紋（背中、両袖、両胸に紋を入れる）を、姉妹や叔母などは三つ紋（背中と両袖に紋を入れる）を、いとこなどの遠い親族は一つ紋（背中にのみ紋を入れる）を選ぶのが一般的です。

色選びも重要なポイントです。年齢や立場に合わせた色を選ぶことで、より洗練された印象になります。若い女性（20〜30代）は明るいパステルカラーや淡い色合いが適しています。例えば、桜色や淡い青などが若々しさを表現できます。40〜50代の方は落ち着いた色合いを選びましょう。深みのある紫や緑などが品のある印象を与えます。60代以上の方は、さらに落ち着いた色合い、例えば紺や濃い緑などが好ましいでしょう。

また、季節感も考慮すると良いでしょう。春夏の結婚式なら明るく軽やかな色を、秋冬なら深みと重厚感のある色を選ぶと季節に合った装いになります。

色無地に合わせる小物選び色無地に合わせる小物選びは、着物全体の印象を左右する重要なポイントです。帯は色無地の色と調和する落ち着いた色合いのものを選び、帯締めや帯揚げも同様に調和を意識します。草履やバッグは帯と色を合わせると統一感が出ます。また、色無地に合わせる髪飾りは控えめなものを選ぶと上品な印象になります。

親族結婚式着物既婚女性の装い

結婚式に親族として参列する既婚女性の着物選びは、立場によって異なります。最も格式高い装いが求められるのは新郎新婦の母親や祖母で、五つ紋の黒留袖を着用するのが一般的です。これは最も格の高い第一礼装であり、ゲストをお迎えする立場として敬意を表す意味があります。

既婚の叔母や姉妹の場合は、黒留袖または色留袖を選ぶことができます。特に若い既婚女性の場合、黒留袖では落ち着きすぎてしまうため、華やかな色留袖を好む方も増えています。色留袖を選ぶ場合は、母親の黒留袖より格下になるよう、三つ紋を選ぶのが一般的です。

また、最近では親族席が黒づくめになることを避けるため、既婚女性であっても姉妹には色留袖を着てもらい、会場に華やかさをプラスする傾向も見られます。40代以上の既婚女性なら、落ち着いた色合いの色留袖を選ぶと品格が感じられます。例えば、ベージュやうぐいす色、グレーや藤色などが年齢に合った選択と言えるでしょう。

既婚女性が着物を選ぶ際のポイントは、自分の立場を考慮し、新郎新婦の母親より格上にならないよう配慮することです。また、地域や家のしきたりによって着物の格式に対する考え方が異なる場合もあるので、事前に新郎新婦や両家の親に確認することをおすすめします。

甥姪の結婚式着物女性 50代の装い

甥姪の結婚式に50代の女性が着物で参列する場合、叔母という立場になります。叔母は新郎新婦と血縁が近い親族なので、格式ある装いが求められます。50代の叔母であれば、黒留袖または色留袖が適しています。

黒留袖を選ぶ場合は、新郎新婦の母親より控えめな柄を選ぶことがマナーです。年齢に合った落ち着いた柄で、吉祥文様などの伝統的な柄を選ぶと品よく見えます。

色留袖を選ぶ場合は、50代にふさわしい落ち着いた色合いを選びましょう。シックな印象を与えてくれる濃い地色の色留袖や、裾に向かってグラデーションになっているものが50代の女性に適しています。具体的には、モスグリーンやベージュ、くすみがかったピンク、ライトグレーなどが50代の女性に似合う色とされています。

紋の数については、母親より格上にならないよう、三つ紋を選ぶのが一般的です。ただし、地域や家のしきたりによって異なる場合もあるので、事前に確認することをおすすめします。

50代の女性が甥姪の結婚式に着物で参列する際は、華美になり過ぎず、かつ格式を保った装いを心がけることで、甥姪の晴れの日を美しく彩ることができるでしょう。