
プレタの着物とは?初心者向け基礎知識
着物を着てみたいけれど、仕立てや手入れが大変そう…そんな悩みを持つ方に朗報です。近年注目を集めている「プレタの着物」は、すぐに着られる手軽さと洗える便利さで、着物初心者の強い味方となっています。
プレタとは、フランス語の「プレタポルテ」を略した言葉で、「すぐに着られるように用意された」高級既製服を意味します。着物の世界では、従来の反物から仕立てるオーダーメイドとは異なり、S・M・Lサイズで既に仕立て上がった状態で販売されている着物のことを指します。
特に人気なのが洗える着物のプレタタイプです。ポリエステル素材を中心に作られたこれらの着物は、自宅で洗濯機を使って手入れができるため、汚れを気にせず気軽に着用できます。プレタ着物のサイズは洋服のように選べるので、着物初心者でも迷わず購入できるのが魅力です。
「プレタ着物は恥ずかしい」と感じる方もいるかもしれませんが、現代では高品質なポリエステル素材も多く、東レのシルックなどの高級ラインは正絹に近い風合いを持っています。特にセール時期を狙えばリーズナブルな価格で入手できるチャンスもあります。
夏着物のプレタも豊富に揃っており、通気性に優れた素材で作られた涼しげな一枚は、暑い季節の和装を楽しむのに最適です。洗える着物のプレタは、着物文化を身近に感じられる素晴らしい選択肢となっています。
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プレタとはフランス語の「プレタポルテ」の略で、既に仕立て上がっていてすぐに着られる既製服の着物のこと
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ポリエステル素材が多く、自宅で洗濯機で洗えるため手入れが簡単
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S・M・Lなどのサイズ展開で、反物から仕立てるより手頃な価格で購入できる
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静電気が起きやすい、サイズが合わないことがあるなどのデメリットもある
プレタとは何か?着物界の既製服
プレタという言葉は、フランス語の「プレタポルテ」(Prêt-à-Porter)を略したもので、「すぐに着られるように用意された」という意味を持っています。着物の世界では、既に仕立て上がった状態で販売されている着物のことを指します。
従来の着物は、反物(生地)を選び、着る人の体型に合わせて仕立てるオーダーメイドが基本でした。このプロセスには通常1ヶ月ほどの時間と、反物代に加えて2万円前後の仕立て代が必要です。一方でプレタ着物は、洋服と同じようにS・M・Lといったサイズ展開で既に仕立て上がっているため、購入してすぐに着ることができます。
例えば、急に来週末に着物を着たいという場合でも、プレタ着物なら即日購入して着用することが可能です。お店では洋服のようにハンガーにかけられた状態で販売されていることが多く、試着もしやすいのが特徴です。
プレタ着物の種類は実に豊富で、カジュアルな小紋から、フォーマルな訪問着、振袖まで様々なタイプがあります。素材も木綿、ポリエステル、絹など多岐にわたりますが、特に近年はポリエステル素材のプレタ着物が主流となっています。
このようなプレタ着物の登場により、着物文化への敷居が低くなり、特に若い世代を中心に「気軽に着物を楽しむ」という新しい和装の楽しみ方が広がっています。洋服感覚で着物を選び、日常的に着用する人も増えてきました。
着物の伝統を守りながらも、現代のライフスタイルに合わせた形で進化しているのが、プレタ着物の大きな特徴と言えるでしょう。
プレタ着物のメリット・デメリット
プレタ着物には、従来の仕立て着物と比較して多くのメリットがあります。まず最大の魅力は、購入後すぐに着用できる手軽さです。通常の着物は反物から仕立てるため1ヶ月程度かかりますが、プレタ着物は既製品なので即日着用が可能です。
次に価格の分かりやすさと手頃さも大きな利点です。反物から仕立てる場合、生地代だけでなく仕立て代や加工代、裏地代などが加算されますが、プレタ着物は最終価格が明確で、比較的安価に購入できます。特にポリエステル素材のプレタ着物は、正絹の着物と比べて価格が5分の1程度と非常にリーズナブルです。
また、着姿をイメージしやすいのもメリットの一つです。反物の状態では実際に着た姿を想像しにくいですが、プレタ着物は形になっているので試着して確認できます。さらに、デザインやカラーバリエーションが豊富で、古典的な柄からモダンなデザイン、ポップな柄まで様々な選択肢があります。
一方で、プレタ着物にはいくつかのデメリットも存在します。最も大きな課題はサイズの問題です。S・M・Lといった限られたサイズ展開のため、極端に背が高い方や低い方、ふくよかな方には合わないことがあります。同じサイズ表記でもメーカーによって基準が異なるため、試着が重要です。
また、柄ゆきの指定ができない点も制約となります。オーダーメイドの場合は柄の配置を指定できますが、プレタ着物は出来上がったものから選ぶしかありません。量産品のため他の人と同じ着物になる可能性もあり、個性を重視する方には物足りなさを感じるかもしれません。
素材面では、特にポリエステル素材のプレタ着物は静電気が発生しやすく、冬場は裾がまとわりつくことがあります。また、通気性が悪いため夏は暑く感じやすく、保温性も低いため冬は寒さを感じやすいという特徴があります。
これらのメリット・デメリットを理解した上で、自分のライフスタイルや目的に合わせてプレタ着物を選ぶことが大切です。初めて着物を購入する方や、気軽に着物を楽しみたい方にとって、プレタ着物は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
洗える着物の魅力と手入れ方法
洗える着物の最大の魅力は、なんといっても自宅で気軽に洗濯できる点です。従来の正絹(シルク)の着物は水に弱く、汚れたらクリーニング店に出す必要がありましたが、ポリエステルや木綿などの洗える着物は家庭で手入れができます。これにより、食事中に汚してしまった場合や雨の日に裾が濡れてしまっても安心して着用できるようになりました。
また、洗える着物はカビに強いという特性もあります。正絹の着物は定期的な手入れが必要ですが、ポリエステル素材の着物は箪笥にしまいっぱなしでもカビが生えにくく、保管も簡単です。このお手入れの手軽さは、着物を日常的に楽しみたい現代人にとって大きなメリットとなっています。
洗える着物を自宅で洗濯する際は、いくつかのポイントに注意する必要があります。まず、洗濯表示タグを必ず確認しましょう。同じポリエステル素材でも、混紡の場合や装飾によっては洗い方が異なることがあります。
洗濯機で洗う場合は、着物を畳んだ状態で大きめの洗濯ネットに入れます。洗剤はおしゃれ着用の中性洗剤を使用し、漂白剤は避けてください。静電気防止のために柔軟剤を少し多めに入れるのもおすすめです。洗濯モードは「手洗いモード」や「ソフトコース」を選び、水温は30℃以下のぬるま湯が適しています。
脱水は短時間(10〜15秒程度)にとどめ、長時間回すと型崩れの原因になります。干す際は直射日光を避け、陰干しにします。着物ハンガーがあると形を保ったまま干せるので便利です。ポリエステル素材は乾きやすく、シワになりにくいのが特徴ですが、気になるシワがある場合は低温〜中温(120〜140℃)で当て布をしながらアイロンをかけるとよいでしょう。
特に注意したいのは、衿や袖口、裾など汚れが目立つ部分です。洗濯機で洗う前に、これらの部分は手洗いで予洗いしておくと効果的です。また、新品のポリエステル着物は最初の洗濯で色落ちすることがあるため、他の洗濯物と一緒に洗わないようにしましょう。
洗える着物のお手入れは、正しい方法で行えば非常に簡単です。このお手入れの手軽さが、着物を日常的に楽しむ文化の復活に貢献しているのです。洗濯機で洗えて、シワになりにくく、カビに強い洗える着物は、現代のライフスタイルにぴったりの和装アイテムと言えるでしょう。
プレタ着物のサイズ選びのポイント
プレタ着物を選ぶ際、最も重要なのはサイズ選びです。洋服のように試着して購入できるのがプレタ着物の魅力ですが、適切なサイズを選ばないと着崩れの原因になります。
一般的にプレタ着物はS・M・Lといったサイズ展開ですが、メーカーによって基準が異なります。例えば、同じMサイズでも、ある会社では身長155〜160cm向け、別の会社では160〜165cm向けというように差があります。購入前には必ず詳細なサイズ表を確認しましょう。
特に注意すべきは身丈(着物の長さ)です。身丈が短すぎると「おはしょり」(着物を着た際に胸元で作る余裕分)が作れず、長すぎると裾が引きずってしまいます。理想的な身丈は、自分の身長に約30cmを足した長さです。これにより、適切なおはしょりが作れます。
また、袖丈も重要なポイントです。袖丈が短すぎると着物らしさが損なわれ、長すぎると動きづらくなります。標準的な袖丈は49cm程度ですが、身長が低い方は少し短めの袖丈を選ぶとバランスが良くなります。
身幅(着物の幅)も見逃せません。プレタ着物は平均的な体型を想定して作られているため、ふくよかな方や肩幅の広い方は窮屈に感じることがあります。身幅に余裕がないと、着物が前で合わなくなり、はだけやすくなってしまいます。
このように、プレタ着物は便利な反面、サイズ選びには注意が必要です。可能であれば必ず試着し、鏡で全身を確認しましょう。試着時には、歩いたり座ったりして動きやすさも確かめることが大切です。
通販で購入する場合は、詳細なサイズ表を確認するだけでなく、返品・交換ポリシーも事前に調べておくと安心です。また、身長や体型に関する質問ができるカスタマーサービスを利用するのも良い方法です。
最近では、「フリーサイズ」と表記されているプレタ着物も増えていますが、これは主に身長155〜165cm、標準体型の方向けです。極端に身長が高い・低い方や、標準から外れた体型の方は、オーダーメイドを検討した方が良いでしょう。
サイズ選びで迷ったときは、少し大きめを選ぶのが無難です。小さすぎる着物は着られませんが、大きめであれば着付けの工夫である程度カバーできるからです。ただし、あまりに大きすぎると着崩れしやすくなるので、適度なサイズ感が重要です。
プレタ着物のサイズ選びは、着物を快適に楽しむための第一歩です。自分の体型に合ったサイズを選ぶことで、美しい着姿を実現し、着物の魅力を最大限に引き出すことができるでしょう。
プレタ着物は恥ずかしい?着用マナー
「プレタ着物は恥ずかしい」と感じる方もいるかもしれませんが、そのような心配は無用です。現代では、プレタ着物は和装文化を気軽に楽しむための素晴らしい選択肢として広く受け入れられています。
かつては「本物の着物は正絹(シルク)」という価値観が強く、ポリエステル素材のプレタ着物は「格下」と見られることもありました。しかし、現在の技術では高品質なポリエステル着物も多く、一見しただけでは正絹と見分けがつかないほど美しいものも増えています。
むしろ大切なのは、どのような場面でどのように着るかという「着用マナー」です。プレタ着物でも、TPOに合わせた着こなしができていれば、恥ずかしいどころか素敵な和装スタイルを楽しめます。
まず、プレタ着物の格に合わせた場所選びが重要です。小紋や紬などのカジュアルな着物は、ショッピングや食事、美術館巡りなど日常的な場面に最適です。一方で、格式高い結婚式や葬儀などには、フォーマル向けのプレタ着物を選ぶか、場合によっては正絹の着物を検討した方が良いでしょう。
また、帯選びも重要なポイントです。プレタ着物はつるつるした素材が多いため、同じポリエステル素材の帯だと滑りやすくなります。正絹の帯を合わせると滑りにくく、全体の印象も上品になります。カジュアルな場面なら半幅帯、少しフォーマルな場面なら名古屋帯や袋帯を選ぶとバランスが良くなります。
小物使いも着こなしの鍵です。帯締めや帯揚げ、草履や巾着などの小物は、プレタ着物でも正絹のものを使うと格調が上がります。特に顔周りの半衿は目立つ部分なので、良質なものを選ぶと全体の印象が格段に良くなります。
着付けの美しさも忘れてはなりません。プレタ着物だからといって着崩れていては台無しです。おはしょりのバランスや衿元の美しさ、裾のラインなど、基本的な着付けのポイントはしっかり押さえましょう。自分で着付けが難しい場合は、着付け教室で基本を学ぶか、プロに依頼するのも一つの方法です。
さらに、季節感も大切なマナーです。袷(あわせ)の着物は10月から5月頃まで、単衣(ひとえ)は6月と9月、薄物は7月と8月が基本です。プレタ着物でも、この季節の区分けを意識すると、より本格的な着こなしになります。
最後に、自信を持って着ることが何よりも大切です。どんなに高価な着物でも自信なく着ていては魅力が半減します。逆に、プレタ着物でも自信を持って颯爽と歩けば、その姿は美しく映ります。
プレタ着物は、伝統的な和装文化を現代のライフスタイルに合わせて楽しむための素晴らしい選択肢です。適切なマナーを守りながら、自分らしく着こなしを楽しみましょう。
プレタの着物を選ぶ際の種類と素材
洗える着物 プレタの人気ブランド
プレタ着物の世界では、洗える素材を使用したブランドが近年急速に人気を集めています。その中でも特に注目を集めているのが、「撫松庵」「京都きもの町」「RYOKO KIKUCHI」の3ブランドです。
撫松庵は、現代的なデザインと伝統的な和の要素を巧みに融合させた着物で知られています。特に若い世代に支持されており、SNSでも頻繁に取り上げられる人気ブランドです。同ブランドの特徴は、ポップでカラフルな柄と、着やすさを重視した素材選びにあります。例えば、「セオ・アルファ」という独自開発の生地を使用しており、シワになりにくく、静電気も起こりにくいという特徴があります。
一方、京都きもの町は、より幅広い年齢層をターゲットにした着物を展開しています。同ブランドの強みは、豊富な柄と色のバリエーションにあります。古典的な柄から現代的なデザインまで、様々な好みに対応できる品揃えが魅力です。また、初心者向けの着付け補助具やアクセサリーなども充実しており、着物デビューを考えている方にも安心して選んでいただけます。
RYOKO KIKUCHIは、デザイナーの菊地良子氏が手掛けるブランドで、モダンでスタイリッシュな着物が特徴です。洋服のようなシルエットや、大胆な柄使いが目を引きます。同ブランドの着物は、日常着としてはもちろん、パーティーシーンなどでも活躍する、versatileな一着として人気を集めています。
これらのブランドに共通しているのは、「着物をもっと身近に」というコンセプトです。洗濯機で洗えるという利点は、着物の敷居を大きく下げ、より多くの人々が気軽に和の文化を楽しめるようになりました。プレタ着物は、伝統と革新のバランスを取りながら、新しい着物文化を創造し続けているのです。
東レ シルック セールで賢く購入
東レのシルックは、絹のような光沢と風合いを持つポリエステル素材の着物として、多くの着物愛好家から支持を得ています。このシルックを、よりお得に手に入れる方法として注目されているのが、定期的に開催されるセールです。
東レシルックのセールは、通常、年に数回開催されます。特に注目すべきは、2月から3月にかけての「春の大売出し」と、9月から10月にかけての「秋の大売出し」です。これらの時期には、多くの呉服店やオンラインショップで、30%から最大50%オフという大幅な割引が行われることがあります。
セールを賢く活用するためには、いくつかのポイントがあります。まず、事前に欲しい着物のデザインや用途を決めておくことが重要です。セール時は品揃えが豊富になる反面、人気商品はすぐに売り切れてしまう傾向があるからです。また、複数の店舗やサイトの価格を比較することも大切です。同じ商品でも、店舗によって割引率が異なることがあるためです。
さらに、セール期間中でも、早期購入特典や会員限定割引などの追加特典が用意されていることがあります。これらの特典を組み合わせることで、より大きな割引を受けられる可能性があります。例えば、一部の呉服店では、セール初日に来店した顧客に追加の10%オフクーポンを配布するといったキャンペーンを行っています。
また、シルックは高品質な素材ですが、セール品だからといって品質が劣るわけではありません。多くの場合、前シーズンの在庫や、新しいデザインの導入に伴う旧モデルの処分品が対象となっています。むしろ、これらは十分に品質チェックを経た信頼できる商品と言えるでしょう。
東レシルックのセールを活用することで、高品質な着物を手頃な価格で手に入れることができます。ただし、衝動買いは禁物です。自分に本当に必要な着物を、計画的に購入することが大切です。セールは確かにお得ですが、着用機会のない着物を購入してしまっては本末転倒です。自分のライフスタイルに合った着物を、賢く選んでいきましょう。
夏着物 プレタの素材と特徴
夏着物のプレタ製品は、その素材と特徴において、伝統的な着物とは一線を画す独自の魅力を持っています。主に使用される素材は、ポリエステルや綿、麻などで、これらは高い通気性と速乾性を備えています。
ポリエステル素材の夏着物は、特に人気が高まっています。その理由は、軽量で扱いやすく、しわになりにくいという特性にあります。例えば、東レの「シルック」や「セオ・アルファ」といった素材は、絹のような光沢と風合いを持ちながら、洗濯機で洗えるという利点があります。これにより、汗をかきやすい夏場でも、こまめに洗濯ができ、いつでも清潔な状態を保つことができます。
また、綿や麻を使用した夏着物プレタも注目を集めています。これらの素材は、肌触りが良く、吸湿性に優れているため、蒸し暑い日本の夏に適しています。特に、小千谷縮や越後上布などの伝統的な織物技術を応用したプレタ製品は、高い通気性と独特の風合いで人気です。
夏着物プレタの特徴として、デザインの多様性も挙げられます。従来の着物に見られる古典的な柄だけでなく、現代的でポップな柄、抽象的なデザインなど、幅広い選択肢が用意されています。これにより、着る人の個性や好みに合わせた選択が可能になっています。
さらに、夏着物プレタの多くは、「単衣」と呼ばれる一枚仕立ての形式を採用しています。これは、裏地を付けない構造で、より軽く涼しく着用できるようになっています。一部のブランドでは、裾や袖口にレースを施すなど、洋服的なディテールを取り入れた製品も登場し、新しい着物の形を提案しています。
価格面でも、夏着物プレタは魅力的です。手頃な価格帯で購入できるものが多く、着物を始めたい若い世代や、複数の着物を所有したい愛好家にとって、選びやすい選択肢となっています。
ただし、プレタ製品を選ぶ際は、着用シーンや自身の体型に合わせて慎重に選ぶことが重要です。例えば、フォーマルな場面では、素材や柄によっては不適切と判断される場合もあります。また、既製品のため、体型によってはフィット感に不満を感じる可能性もあります。
夏着物プレタは、その素材と特徴により、現代のライフスタイルに合った新しい着物の楽しみ方を提供しています。伝統的な美しさを保ちながら、実用性と個性を兼ね備えた夏着物プレタは、和装文化の新たな可能性を切り開いていると言えるでしょう。
洗える着物の高級ラインとは
洗える着物の世界にも、実は高級ラインが存在します。その代表格が「東レシルック」です。東レシルックは、絹の風合いを追求した高品質ポリエステル素材で、一般的なポリエステル着物とは質感が大きく異なります。特に「シルック奏美」シリーズは、軽量性と防汚性を兼ね備えた最高級ラインとして知られています。
高級洗える着物の特徴は、まず見た目の美しさにあります。一般的なポリエステル着物では気になる「テカリ」が抑えられており、遠目には正絹と見間違えるほどの上品な光沢を持っています。また、手触りも滑らかで、着心地の良さも追求されています。
さらに、高級ラインの洗える着物は染色技術にもこだわりがあります。例えば、地色の引き染めや手描き友禅など、伝統的な染色技法を取り入れた商品も多く、単なるプリント柄とは一線を画す深みのある色合いと柄行きを楽しむことができます。
このような高級ラインの洗える着物は、お茶会や日本舞踊のお稽古、格式のあるパーティーなど、少しフォーマルな場面でも恥ずかしくない品格を備えています。実際に、茶道や日本舞踊の先生方の中にも、特に夏場は手入れの簡単な高級洗える着物を愛用している方が少なくありません。
ただし、高級ラインといえども、素材自体はポリエステルであることに変わりはありません。そのため、静電気が発生しやすい、通気性が良くないといった素材特有の特性は持ち合わせています。しかし、最新の技術により、これらの欠点を最小限に抑える工夫がなされています。例えば、静電気防止加工や、通気性を向上させる特殊な織り方を採用するなど、着用時の快適さも追求されています。
価格帯は一般的なポリエステル着物よりも高めで、小紋であれば3万円から6万円程度、付下げや訪問着クラスになると5万円から10万円程度が相場です。正絹の着物と比べるとまだリーズナブルですが、一般的なプレタ着物と比べると2倍から3倍の価格差があります。
高級ラインの洗える着物を選ぶ際は、単に価格だけでなく、生地の質感や染めの技術、仕立ての丁寧さなどをしっかりと確認することが大切です。実際に手に取って、光の当たり方による見え方の変化や、手触りの良さを確かめてみることをおすすめします。洗える着物の高級ラインは、手軽さと上質さを両立させた、現代の和装の新しい選択肢と言えるでしょう。
プレタ着物でコーディネートを楽しむ
プレタ着物の魅力は、気軽に着られるだけでなく、自由な発想でコーディネートを楽しめる点にもあります。従来の着物の「格」や「TPO」にとらわれすぎず、自分らしいスタイルを表現できるのが現代のプレタ着物コーディネートの醍醐味です。
まず、帯選びから自由度を広げてみましょう。小紋のプレタ着物なら、フォーマルな袋帯から、カジュアルな半幅帯まで幅広く合わせることができます。特に初心者の方には、結びやすく軽い半幅帯がおすすめです。最近では、ポップな柄や現代的なデザインの半幅帯も多く、着物と帯のコントラストを楽しむことができます。例えば、シンプルな無地や縞柄の着物には、花柄や幾何学模様の派手な帯を合わせると、全体が引き締まりモダンな印象になります。
また、帯締めや帯揚げなどの小物使いも重要なポイントです。これらの小物は比較的リーズナブルなので、複数揃えて着物の印象を変えるのに役立ちます。特に帯揚げは、着物の柄の中の差し色を拾って選ぶと、全体のまとまりが良くなります。例えば、紺色の着物に赤い小さな柄が入っている場合、帯揚げを赤系にすることで、その赤が引き立ち、コーディネート全体に統一感が生まれます。
さらに、季節感を取り入れたコーディネートも楽しみ方の一つです。春なら桜や梅の帯留め、夏は涼し気なガラスの帯留め、秋は紅葉や銀杏モチーフ、冬は雪の結晶や椿など、季節を感じさせる小物を取り入れることで、着物姿に季節感が加わります。
洋服のアイテムとの組み合わせも、プレタ着物コーディネートの醍醐味です。寒い季節には、着物の上からカーディガンやショートコートを羽織ったり、足元にブーツを合わせたりするスタイルも人気です。また、帽子やバッグなど洋装の小物を合わせることで、カジュアルでありながらも個性的な着こなしが可能になります。
髪型やメイクも着物姿の印象を大きく左右します。堅苦しく考えず、普段のメイクや髪型でも十分素敵です。特に若い方なら、ゆるいお団子やハーフアップなど、カジュアルな髪型でも着物に合います。メイクも、和装だからと特別なものにする必要はなく、いつものメイクに口紅の色を着物に合わせるだけでも統一感が出ます。
このように、プレタ着物でのコーディネートは、従来の着物の常識にとらわれず、自分らしさを表現できる自由な世界です。まずは基本を押さえつつも、自分の感性を大切に、楽しみながら着こなしの幅を広げていくことが、プレタ着物を長く愛用するコツと言えるでしょう。
プレタ着物の価格帯と購入場所
プレタ着物の価格帯は、素材や品質、ブランドによって幅広く設定されています。最も手頃なものでは5,000円台から購入できる一方、高級ラインになると5万円を超えるものまであります。このように幅広い価格帯があるため、初めての方でも自分の予算に合わせて選びやすいのがプレタ着物の魅力の一つです。
一般的なポリエステル素材のプレタ小紋は、7,000円から15,000円程度で購入できるものが多く、初心者の方の一枚目としてもハードルが低い価格設定となっています。一方、東レシルックなどの高級ポリエステル素材を使用したプレタ着物は、30,000円から50,000円程度が相場です。素材の質感や染めの技術、仕立ての丁寧さなどが価格に反映されています。
また、同じプレタ着物でも、単衣(ひとえ)と袷(あわせ)では価格が異なります。単衣は裏地がない一枚仕立てのため、同じデザインでも袷より1,000円から3,000円程度安く設定されていることが多いです。夏物の絽や紗の着物も、生地が薄く仕立てが比較的簡単なため、同様の価格帯で購入できることが多いです。
プレタ着物を購入できる場所も多様化しています。まず、専門の呉服店では、試着ができるだけでなく、プロのアドバイスを受けながら選ぶことができます。特に初めてプレタ着物を購入する方は、実際に着てみて、サイズ感や色合い、質感を確認できる呉服店での購入がおすすめです。
デパートの呉服売り場も、プレタ着物を取り扱っていることが多く、複数のブランドを比較しながら選べる利点があります。特に季節の変わり目には、セールが開催されることもあり、お得に購入できるチャンスもあります。
近年特に増えているのが、インターネット通販での購入です。専門のオンラインショップでは、豊富な品揃えと詳細な商品情報が魅力です。サイズ表や着用イメージ写真が充実しているショップを選べば、初めての方でも安心して購入できます。また、実店舗よりも価格が抑えられていることも多く、コストパフォーマンスを重視する方には特におすすめです。
購入時期についても少し触れておきましょう。着物業界では、2月から3月の「春の大売出し」と、9月から10月の「秋の大売出し」に大規模なセールが行われることが多いです。この時期を狙うと、通常価格から30%から最大50%オフで購入できることもあります。特に東レシルックなどの高級ラインを狙っている方は、こうしたセール時期を利用するとお得に購入できるでしょう。
プレタ着物を選ぶ際は、価格だけでなく、自分の体型に合ったサイズ選びが重要です。一般的にS・M・Lのサイズ展開が多いですが、メーカーによってサイズ基準が異なるため、必ず詳細なサイズ表を確認しましょう。特に身丈(着物の長さ)と裄(ゆき:肩から袖口までの長さ)は重要なポイントです。オンラインで購入する場合は、返品・交換ポリシーも事前に確認しておくと安心です。
このように、プレタ着物は様々な価格帯と購入場所があり、自分のニーズに合わせて選ぶことができます。初めての一枚は、手頃な価格のものから始めて、着物に慣れてきたら少しずつグレードアップしていくのも良いでしょう。
プレタの着物とは?基本知識と特徴まとめ
- プレタとはフランス語の「プレタポルテ」の略で高級既製服を意味する
- 反物から仕立てる従来の着物と異なり、S・M・Lサイズで既に仕立て上がっている
- 購入後すぐに着用できるため、時間的制約がある場合に便利である
- 主な素材はポリエステルで、自宅で洗濯機での洗浄が可能である
- 正絹の着物と比較して価格がリーズナブルで初心者向けである
- カビに強く、シワになりにくいため保管や手入れが簡単である
- 小紋や色無地、付け下げ、訪問着など様々な種類がある
- 静電気が発生しやすく、裾がまとわりつくことがデメリットである
- 通気性が悪いため、夏は暑く冬は寒く感じやすい特性がある
- ポリエステル素材は滑りやすいため、正絹の帯を合わせると着崩れしにくい
- デザインやカラーバリエーションが豊富で、古典柄から現代的なものまで揃う
- 身長が極端に高い・低い方やふくよかな方には既製品のサイズが合わないことがある
- 量産品のため他の人と同じ着物になる可能性がある
- 近年は技術の発達により、高級ポリエステル素材で正絹に近い風合いのものも登場している
- お茶会や日本舞踊の先生も、特に夏場は手入れの簡単なプレタ着物を愛用している