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夏の着物は暑いけど涼しく着こなす15の秘訣

夏の着物は暑い?涼しく着こなす方法
目次

夏の着物は暑い?涼しく着こなす方法

夏の暑さが厳しくなる季節、着物や浴衣を着る機会があっても「暑くて辛そう」と躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。確かに着物は首から足首まで全身を覆い、長襦袢や肌襦袢などの下着を重ね、帯で腹部を何重にも巻くため、体の熱が逃げにくく暑さを感じやすくなります。

しかし、適切な素材選びや着付けの工夫、そして冷えピタなどの暑さ対策グッズを活用することで、5月や6月の初夏から、真夏、そして10月の残暑まで、快適に着物を楽しむことができるのです。

気温18度の穏やかな日から気温28度の暑い日まで、その日の気温に合わせた着物選びと対策法をご紹介します。夏に着物を着るなら何を着ればいいですか?という疑問にもお答えしながら、着物夏柄の選び方や季節ごとの着こなしのコツまで、夏の着物を涼しく美しく着こなすための情報を詳しくお伝えしていきます。

この記事を読めば、暑い季節でも着物を諦める必要はないことがわかるでしょう。むしろ、夏ならではの風情ある装いを楽しむことができるのです。

この記事のポイント
  • 夏用着物の種類(絽・紗・麻)とそれぞれの特徴や適した場面について知りたい

  • 着物を着る際の暑さ対策方法(冷えピタの活用法や補正の工夫など)を探している

  • 季節や気温(5月、6月、10月、28度など)に応じた適切な着物選びの基準を調べている

  • 夏の着物に合わせる小物(帯や帯板、草履など)の選び方や涼しく見せるコーディネート方法を知りたい

夏に着物を着るなら何を着ればいいですか

夏に着物を着るなら何を着ればいいですか

夏の着物選びは季節に合わせた素材選択が重要です。一般的な着物は「袷(あわせ)」と呼ばれる表地と裏地が付いた二枚仕立てですが、これでは夏場には暑すぎてしまいます。袷の着用時期は10月から5月末頃までが基本となります。

夏場に着る着物としては、まず梅雨頃の6月や残暑の9月には「単衣(ひとえ)」が適しています。単衣は表地一枚仕立ての着物で、裏地がない分、軽やかで涼しく着られるのが特徴です。しかし、真夏の7月8月には、さらに涼しい「薄物(うすもの)」と呼ばれる着物を選ぶのがベストです。

薄物には主に「絽(ろ)」「紗(しゃ)」「麻」の三種類があります。絽は縞状に入った細かい穴「絽目(ろめ)」が特徴で、通気性がよく夏の正装としても使える万能な素材です。紗は絽よりも全体的に目が開いており、透け感が強く涼やかな印象を与えます。麻は天然繊維の中で最も涼しいとされ、吸水性と速乾性に優れているため、汗をかいても肌に張り付きにくいという利点があります。

また、現在は温暖化の影響もあり、5月や6月でも真夏のような暑さになることもあります。そのため、夏物の着用時期は少しずつ広がる傾向にあり、ルールも比較的緩やかになってきています。例えば、単衣の時期に透け感の少ない夏物を着ることも許容されるようになってきました。

このように、夏に着物を着る際は、その時期や場面に合わせて素材を選ぶことが大切です。フォーマルな場面では絽の着物を、カジュアルな場面では紗や麻の着物を選ぶと良いでしょう。また、長襦袢も夏用の絽や紗、麻のものを選ぶと、より涼しく着こなすことができます。

いずれにしても、夏の着物は通気性と吸湿性に優れた素材を選ぶことで、暑い季節でも快適に和の装いを楽しむことができるのです。

着物夏柄の選び方と特徴

着物の柄選びでは「季節を先取りする」という基本があります。実際の季節よりも1ヶ月ほど先を目安に柄を選ぶことで、季節感を表現します。夏の着物柄を選ぶ際も、この原則に従うと良いでしょう。

6月から7月には盛夏の草花を、8月から9月初旬には秋の草花を取り入れた柄を選ぶのが一般的です。例えば、6月には秋の草花はまだ早く、8月下旬の残暑の頃に初夏の柄は避けた方が無難です。季節を先取りしすぎたり、逆に季節遅れになるような柄選びは避けるべきでしょう。

夏の代表的な柄としては、撫子(なでしこ)、紫陽花(あじさい)、瓜(うり)、柳(やなぎ)、鉄線(てっせん)、朝顔(あさがお)、蜻蛉(とんぼ)、千鳥(ちどり)などが挙げられます。これらの柄は夏の風情を感じさせ、着物に涼しげな印象を与えてくれます。

また、夏の着物は清涼感のある寒色系や薄色を基調とし、季節の先取りで秋草の柄を選ぶこともあります。涼しさを強調するために、意匠化された雪の柄をちりばめるのも粋な選択です。

夏の柄の中でも、時期によって使い分けると良いでしょう。例えば、初夏にはあじさいの柄が、盛夏から晩夏には朝顔やなでしこの柄が適しています。これらの柄を上手に取り入れることで、季節感あふれる装いを楽しむことができます。

色合いも重要なポイントです。夏の着物には涼やかで軽やかな印象を与える色が好まれます。特に淡いブルーやグリーン、白などの色は清涼感を強調し、夏の暑さを視覚的に和らげる効果があります。

さらに、柄の配置やバランスも全体の印象を左右します。大きな柄が使われている場合は、その位置や大きさに注意し、視覚的なバランスを保つことが大切です。小さな柄が散りばめられたデザインは、統一感を持たせつつ柔らかな印象を与えます。

このように、夏の着物柄を選ぶ際は、季節感、色合い、柄のバランスなどを総合的に考慮することで、涼しげで美しい装いを実現することができるのです。

着物の暑さ対策と冷えピタの活用法

夏の暑さが厳しくなる季節、着物や浴衣を着る機会があっても「暑くて辛そう」と躊躇してしまう方も多いでしょう。確かに着物は首から足首まで全身を覆い、長襦袢や肌襦袢などの下着を重ね、帯で腹部を何重にも巻くため、体の熱が逃げにくく暑さを感じやすくなります。

そこで注目したいのが、冷えピタを活用した着物の暑さ対策です。冷えピタは長時間の冷却効果があり、適切な場所に貼ることで体温を効果的に下げることができます。特に効果的な貼り付け場所は脇の下、背中、首の後ろです。

脇の下に冷えピタを縦向きに貼ると、上半身の発汗を抑える効果があります。この部分には太い血管が通っているため、ここを冷やすことで全身の体温を下げる効果が期待できます。背中には横向きに貼り、帯で隠れる部分に配置すると外から見えません。首の後ろに貼れば、頭部の熱を効率よく冷やすことができます。

冷えピタの持続時間は6〜8時間程度なので、長時間の外出にも対応できます。ただし、肌に直接貼ると肌トラブルの原因になることがあるため、肌襦袢などの下着に貼ることをおすすめします。また、冷えピタは汗を吸って膨れ上がる特性があるため、着物の外側から膨らみが目立たない位置を選ぶことも重要です。

留袖など重厚な着物では、脇の下と背中の両方に貼ると効果的です。特に黒留袖は最も格式の高い着物とされていますが、その重厚な作りと格式ゆえに、夏場の着用は体に大きな負担となります。冷えピタを活用することで、格式高い場での着用も快適になります。

また、保冷剤と冷えピタを使い分けることも効果的です。保冷剤は冷却効果が高く、体温を素早く下げることができますが、溶けて水滴が出る心配があります。一方、冷えピタは薄くて軽いため着物の下に貼っても目立ちにくく、長時間にわたって緩やかな冷却効果が続くという利点があります。

さらに、着付け前に冷房の効いた部屋で体を冷やしておくと、冷えピタの効果が長続きします。男性用ボディペーパーやハッカ油スプレーと組み合わせるとさらに涼しく過ごせます。

このように、冷えピタを活用することで、夏の暑い日でも着物や浴衣を快適に着こなすことができます。ただし、熱中症予防のためには水分補給も忘れずに行い、無理のない範囲で楽しむことが大切です。

5月の着物は暑い?初夏の着こなし

5月の着物は暑い?初夏の着こなし

5月の着物選びは、その日の気温によって大きく変わります。一昔前なら5月は「袷(あわせ)」の着物を着る時期とされていましたが、近年の気候変動により、5月でも真夏日になることも珍しくありません。そのため、気温に合わせた着物選びが重要になってきています。

気温が22度以下の涼しい日であれば、裏地のある袷の着物を選ぶのが基本です。しかし、25度を超えるような暑い日には、「単衣(ひとえ)」の着物に切り替えるのがおすすめです。単衣は裏地がなく一枚仕立てなので、袷よりも軽やかで風通しが良く、暑さを感じにくくなります。

また、5月の暑い日に袷を着る場合は、長襦袢を夏用の絽や麻のものに変えるだけでも、かなり涼しく感じられます。これなら季節のルールを守りながらも、快適に過ごすことができるのです。

色選びも重要なポイントです。5月の着物には、パステルグリーンや淡い寒色系など、爽やかさを感じられる色が似合います。また、柄は季節の花を先取りするのが粋とされています。5月の季節の花は藤、すずらん、あやめなどが代表的です。薔薇も5月から6月にかけて開花する花なので、この時期に着るのにぴったりです。

帯の選び方も着物の印象を左右します。袷の着物には袷の帯を合わせるのがルールですが、単衣の場合は袷用の帯も夏用の帯も合わせることができます。着物と帯の色合いは、グラデーションを作るように同系色で揃えたり、着物の柄の一部の色を帯に取り入れたりすると、統一感のある装いになります。

初夏の着物を快適に着こなすためには、小物使いも工夫しましょう。例えば、半衿で季節感を表現するのも粋な方法です。笹や葉の柄の刺繍入り半衿なら、新緑の季節にぴったりです。また、寒暖差が激しい5月は、羽織を持ち歩くと安心です。羽織を着る際は、肩で着るのではなく腰で支えるつもりで着ると、首が伸びて美しく見えます。

このように、5月の着物は気温や場面に応じて柔軟に選ぶことで、暑さを感じることなく、季節感あふれる装いを楽しむことができます。初夏の爽やかな風を感じながら、着物姿で街を歩けば、日常とは違った特別な時間を過ごせることでしょう。

6月の着物は暑い?梅雨時の着方

6月は梅雨入りとともに湿度が高まり、着物を着るのに悩ましい季節です。この時期は基本的に「単衣(ひとえ)」の着物を選ぶのが正解ですが、近年の気候変動で真夏日が増えており、より涼しい着こなしを求める声も多くなっています。

単衣の着物は裏地がなく一枚仕立てなので、袷(あわせ)よりも軽く涼しいのが特徴です。6月に着るなら、絽(ろ)ちりめんや本塩沢、夏大島、夏結城といった涼やかな素材の単衣がおすすめです。これらの素材は通気性が良く、蒸し暑い梅雨の時期でも快適に過ごせます。

特に暑い日には、長襦袢も絽や紗などの夏物を選ぶと良いでしょう。真っ白な長襦袢は真夏のイメージがあり、袖口から見えたときに目立ってしまうため、着物の色に合わせた淡い色の長襦袢を選ぶのが粋です。また、半衿も夏物を使うことで、統一感のある涼しげな印象になります。

帯選びも梅雨時の着こなしのポイントです。単衣の着物には夏用の帯も袷用の帯も使用できるので、その日の天候や気温に合わせて選ぶと良いでしょう。暑い日は絽や紗などの夏物の帯を、肌寒い日は袷の帯を合わせるなど、臨機応変に対応できます。紬織の八寸名古屋帯や塩瀬の帯は涼しげで、6月後半になると透目(すきめ)が入った絽塩瀬の帯も風情があります。

色と柄の選び方も重要です。6月の着物には爽やかな水色や淡い緑色など、初夏をイメージさせる色味が似合います。また、梅雨入り前なら紫陽花や雨模様の柄、梅雨入り後には水連(すいれん)や百合など夏の花が描かれた着物が粋です。カタツムリや蛙といった季節感のあるユニークな柄も、梅雨時の装いに華を添えます。

梅雨の時期に着物を着る際の悩みといえば、雨による汚れや湿気です。自宅で洗える着物を選んだり、着物用の雨コートを用意したりすると安心です。また、ビニールコーティングやエナメル張りなどの撥水性の良い草履や、撥水性に優れた足袋を揃えておくと、雨の日でも快適に過ごせます。

暑さ対策としては、大判ガーゼを補正に使うと熱がこもりにくく、汗も吸収してくれるのでおすすめです。また、冷却シートを首筋や脇の下に貼っておくと、体温を効率よく下げることができます。制汗剤の使用や、メッシュ素材の帯板・帯枕の活用も効果的です。

このように、6月の着物は素材選びや小物の工夫、暑さ対策をすることで、梅雨時でも快適に楽しむことができます。雨の季節ならではの風情を着物で表現し、しっとりとした日本の美を感じてみてはいかがでしょうか。

夏の着物が暑いと感じる時の対処法

夏の着物が暑いと感じる時の対処法

気温28度での着物の選び方と工夫

気温28度という暑さは、着物を着る上で非常に悩ましい温度です。この気温では、体感的には汗ばむ陽気となり、着物の下で熱がこもりやすくなります。そのため、素材選びから着付けの工夫まで、総合的な暑さ対策が必要になってきます。

まず素材選びですが、気温28度では通気性の良い「単衣(ひとえ)」の着物が最適です。単衣は裏地がなく一枚仕立てなので、袷(あわせ)よりも軽やかで風通しが良いのが特徴です。特に大島紬や塩沢、お召しなどのさらっとした織物は、単衣に向いており、肌に張り付きにくく快適に過ごせます。

また、この気温帯では季節の変わり目であることも多いため、時期によって選ぶ着物も変わってきます。5月や9月末の28度であれば単衣を、7月や8月の28度であれば「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」、「麻」などの夏着物を選ぶと良いでしょう。絽は縞状に入った細かい穴が特徴で、通気性が良く見た目にも涼しげです。紗はさらに透け感があり、麻は吸水性と速乾性に優れているため、汗をかいても快適に過ごせます。

着付けの際の工夫も重要です。例えば、補正には厚手のタオルではなく大判ガーゼを使うと熱がこもりにくくなります。ガーゼは通気性が良く、汗を吸収してくれるので、おはしょりや帯で覆われる腰回りの蒸れを防いでくれます。

長襦袢も夏用の絽や麻のものを選ぶと良いでしょう。麻の襦袢は吸水性と速乾性に優れており、肌に張り付かないため、暑い日でも快適に過ごせます。また、肌着には汗取り効果のある素材を選ぶことで、着物への汗ジミを防ぐことができます。

帯も通気性の良いものを選びましょう。帯芯の入っていない八寸名古屋帯は軽くて涼しいですし、帯板や帯枕もメッシュ素材やヘチマなど通気性の良いものを使うと、帯周りの熱がこもりにくくなります。

さらに、冷却シートを首筋や脇の下に貼っておくと、体温を効率よく下げることができます。特に、血管が通っている首筋や脇の下を冷やすことで、全身の体温を下げる効果が期待できます。着付け前に冷房の効いた部屋で体を冷やしておくと、冷却シートの効果も長続きします。

このように、気温28度での着物姿を快適に楽しむためには、素材選びから着付けの工夫、そして小物使いまで、様々な暑さ対策を組み合わせることが大切です。これらの工夫を取り入れることで、暑い日でも着物を美しく、そして快適に着こなすことができるでしょう。

気温18度の着物コーディネート

気温18度は、着物を着るのに非常に心地よい温度です。寒すぎず暑すぎないこの気温帯では、様々な種類の着物を楽しむことができます。一般的には、この気温では「袷(あわせ)」の着物が適していますが、体感温度は個人差があるため、自分の快適さを優先して選ぶことも大切です。

袷の着物は表地と裏地が縫い合わされた二枚仕立てで、10月から5月頃まで着用するのが一般的です。気温18度は、まさにこの袷が最も快適に着られる温度といえるでしょう。素材としては、紬や小紋、付下げなど、幅広い選択肢があります。特に春や秋の18度であれば、季節感を取り入れた柄や色を選ぶと、より装いが映えます。

春の18度では、淡いパステルカラーや若草色、桜や藤などの春の花をモチーフにした柄が季節感を演出します。帯は明るめの色を合わせると、春らしい軽やかな印象になります。一方、秋の18度では、深みのある茶色や紺、エンジなどの色味や、紅葉や菊などの秋の草花をモチーフにした柄が季節感を表現します。帯も同様に、少し重厚感のある色や柄を選ぶと秋らしさが増します。

また、気温18度は日中と朝晩の温度差が大きくなることも多いため、羽織物を一枚持っておくと安心です。薄手の道行コートや羽織があれば、気温の変化に対応しやすくなります。特に春や秋の季節の変わり目には、この温度差対策が重要になってきます。

長襦袢は基本的に袷用のものを選びますが、汗をかきやすい方は吸水性の良い素材を選ぶと良いでしょう。また、肌着も季節に合わせて選ぶことで、より快適に過ごせます。春先や秋口の18度では、少し薄手の肌着を選ぶと良いでしょう。

小物使いでも季節感を表現できます。春の18度では、明るい色の帯締めや帯揚げ、花のモチーフの帯留めなどを合わせると春らしさが増します。秋の18度では、深みのある色の帯締めや帯揚げ、木の実や紅葉などの秋のモチーフの帯留めが季節感を演出します。

気温18度は、着物を着るのに最も快適な温度帯の一つです。この気温を活かして、季節感あふれる着物コーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか。適切な素材選びと季節感のある小物使いで、より美しく、より快適な着物姿を実現することができます。

10月の着物は暑い?秋の装いのコツ

10月の着物は暑い?秋の装いのコツ

10月の着物選びは、近年の気候変動により非常に悩ましいものとなっています。一般的な着物の暦では、10月からは「袷(あわせ)」の着物を着る時期とされていますが、実際には10月でも真夏日になることも珍しくありません。そのため、気温や体感に合わせた柔軟な着物選びが求められます。

10月初旬に暑さを感じる日には、「単衣(ひとえ)」の着物を選んでも問題ありません。多くの着物愛好家も「10月に入っても暑い日には単衣を着てOK」という考えを示しています。ただし、結婚式や式典などのフォーマルな場や、10月後半に入る頃には、袷を選ぶのが無難でしょう。

10月に単衣を着る場合は、秋らしさを演出する工夫が必要です。例えば、色味は春夏に着ていた淡い色や明るい色ではなく、少し深みのある落ち着いた色を選ぶと良いでしょう。茶色や紺、エンジ、深緑などの色は、秋の装いにぴったりです。また、柄も秋を感じさせるものを選ぶと季節感が出ます。銀杏や紅葉、菊などの秋の草花や、松葉、松毬といった秋の植物が描かれた「吹き寄せ」と呼ばれる柄も秋らしさ満点です。

帯や小物でも秋の雰囲気を出すことができます。単衣の着物に袷の帯を合わせることで、秋らしさを演出できます。また、帯締めや帯揚げに柿色や栗色、葡萄色といった秋らしい色を選んだり、帯留めを銀杏やどんぐりといった秋をモチーフにしたものにすれば、単衣でも秋を感じさせるコーディネートになります。

前述の通り、10月後半になると気温も下がってくるため、霜降(10月23日頃)を目安に単衣から袷に替えるのが良いでしょう。袷に切り替える際には、まずは軽やかな袷から始めるのがおすすめです。例えば、大島紬は袷でありながらも軽やかで、残暑が厳しい日にも着やすい着物です。

また、10月の着物コーディネートでは、朝晩と日中の気温差に注意が必要です。単衣で出かける場合は、薄手の羽織を持っておくと安心です。羽織があれば、気温が下がった時にも対応できますし、急な雨からも着物を守ることができます。

このように、10月の着物選びは気温や場面に応じて柔軟に対応することが大切です。単衣から袷への移行期間として、色や柄、小物使いで秋らしさを表現しながら、快適に着物を楽しみましょう。季節の変わり目だからこそ、工夫次第で様々な着こなしを楽しむことができるのです。

夏の着物を涼しく着る小物選び

夏の着物姿を涼しく快適に保つには、適切な小物選びが欠かせません。暑い季節でも和装の美しさを損なわずに過ごすためには、素材や機能性にこだわった小物を取り入れることが大切です。

まず帯周りの小物から見ていきましょう。夏の帯板は通常のものではなく、メッシュ素材やヘチマ素材を選ぶと熱がこもりにくくなります。特にヘチマ帯板は昔から夏用として重宝されてきた伝統的な品で、自然素材ならではの通気性の良さが特徴です。帯枕も同様に、ヘチマや麻素材のものを選ぶと背中の蒸れを軽減できます。

伊達締めも夏用のメッシュタイプを選ぶと良いでしょう。通気性が良く、洗濯も可能なタイプであれば、汗をかいても衛生的に使い続けることができます。腰紐も麻素材のものを選べば、吸湿性と速乾性に優れているため、汗をかいても不快感が少なくなります。

足元の小物も夏らしさを演出するポイントです。草履は麻素材やラフィア、帆布などの素材が夏にぴったりです。フォーマルな場では通年使えるエナメルの草履も良いですが、カジュアルな場面では淡い色の草履を選ぶと夏らしい爽やかな印象になります。

バッグも季節感を意識して選びましょう。夏の着物に合わせるバッグは、麻や籐、絽や紗などの素材が涼しげで適しています。特に籐や竹のかごバッグは見た目にも涼しく、夏の装いにぴったりです。カジュアルな着こなしなら、必ずしも和装用バッグにこだわる必要はなく、お手持ちのバッグを合わせても素敵なコーディネートが楽しめます。

暑さ対策グッズも忘れずに取り入れましょう。扇子は見た目の美しさだけでなく、実用性も高い夏の必需品です。紙製の扇子は風をつかまえやすく、効率よく涼を取ることができます。また、ガラス製の帯留めや切子、とんぼ玉などの透明感のある小物は、視覚的な涼しさをプラスしてくれます。

日傘も夏の着物姿には欠かせません。直射日光を避けることで体感温度を下げるだけでなく、着物や肌の日焼けも防ぐことができます。和装に合う上品なデザインの日傘を選ぶと、コーディネート全体が引き締まります。

このように、夏の着物を涼しく着こなすためには、素材や機能性にこだわった小物選びが重要です。通気性の良い素材や涼しげなデザインの小物を取り入れることで、暑い夏でも快適に和装を楽しむことができるでしょう。

着物の暑さを和らげる着付けの工夫

着物を着る際の暑さは、着付けの工夫によって大きく軽減できます。特に夏場は、着付けの段階から暑さ対策を意識することで、より快適に過ごすことが可能になります。

着付けを始める前に、まず部屋の環境を整えましょう。エアコンを20℃前後に設定して部屋を十分に冷やしておくことが重要です。暑い部屋で着付けをすると、着始めから汗をかいてしまい、着物が汗で濡れたり、メイクが崩れたりする原因になります。また、着付け前には体を冷やしておくと、着付け中の発汗を抑えることができます。

補正方法も夏は工夫が必要です。通常の着付けではパイルタオルを使うことが多いですが、夏場は大判ガーゼを使うと熱がこもりにくくなります。ガーゼは通気性が良く、汗を吸収する性質があるため、おはしょりや帯で覆われる腰回りの蒸れを防いでくれます。特に帯を締める部分は汗をかきやすいので、大判ガーゼで補正することで汗ジミも防げます。

また、着付けの前に制汗剤やベビーパウダーを使用するのも効果的です。特に汗をかきやすい脇の下や首筋、膝裏などにパウダーをはたいておくだけで、汗による不快感や着物の汚れを軽減できます。制汗スプレーは汗の分泌そのものを抑える効果があるので、長時間の着用でも快適さを保つことができます。

冷却シートの活用も夏の着付けでは有効な方法です。着付けの前に首筋や脇の下に冷却シートを貼っておくと、体温上昇を抑えることができます。特に血管が通っている部位を冷やすことで、全身の体温を効率よく下げる効果が期待できます。ただし、汗をかきすぎると冷却シートの接着面が不快になることもあるので、肌着の上から貼るなどの工夫をするとよいでしょう。

長襦袢の選び方も重要です。夏用の絽や紗、麻の長襦袢を選ぶことで、通気性が良くなり、肌に張り付きにくくなります。特に麻の長襦袢は吸水性と速乾性に優れており、汗をかいても肌離れが良いため、着心地が格段に向上します。

さらに、着付けの際に使用する腰紐の数を減らすことも検討してみましょう。必要最低限の腰紐だけを使用することで、体を締め付ける箇所が減り、通気性が良くなります。ただし、着崩れの原因にもなるので、TPOや着物の種類によって判断することが大切です。

このように、着付けの段階からさまざまな工夫をすることで、夏の着物姿をより快適に楽しむことができます。体に負担をかけず、美しい着姿を保つためにも、これらの暑さ対策を取り入れてみてはいかがでしょうか。

夏の着物イベントを快適に楽しむ方法

夏の着物イベントを快適に楽しむ方法

夏の着物イベントは風情があり素敵ですが、暑さとの闘いでもあります。しかし、適切な準備と対策を講じれば、暑い季節でも着物姿で快適にイベントを楽しむことができます。

夏の着物イベントに出かける際は、まず時間帯の選択が重要です。真夏の日中、特に13時から16時頃は最も気温が高くなる時間帯です。可能であれば、朝の涼しい時間帯や夕方以降のイベントを選ぶと体への負担が少なくなります。例えば、夕涼みを兼ねた夏祭りや夜の灯篭イベントなどは、比較的涼しい時間に楽しめるでしょう。

イベント選びも大切なポイントです。夏に着物で行くなら、屋内外を行き来できるイベントや、水辺で行われるイベントがおすすめです。例えば、京都の鴨川納涼床や貴船の川床料理は、水の近くで涼を感じながら食事を楽しめます。また、東京の椿山荘ほたるの夕べや江の島灯篭など、夜に開催される幻想的なイベントも着物姿で参加すると風情があります。

持ち物も暑さ対策の重要な要素です。扇子や日傘は必須アイテムで、直射日光を避けるだけでなく、和装の雰囲気も高めてくれます。最近ではハンディファンも人気で、首からかけるタイプなら両手が自由に使えて便利です。また、保冷剤をタオルで包んで持ち歩くと、首筋や脇の下を冷やすことができ、効果的に体温を下げられます。

水分補給も忘れてはなりません。着物姿だとついつい水分摂取を控えがちですが、熱中症予防のためにもこまめな水分補給が大切です。ペットボトルの水やお茶を持ち歩き、小まめに飲むようにしましょう。また、汗拭き用のハンカチや制汗シートも複数枚用意しておくと安心です。

イベント会場での過ごし方も工夫しましょう。人混みを避け、日陰や冷房の効いた場所をこまめに利用することで、体力の消耗を防げます。また、イベント会場の下見をしておくと、休憩スポットや冷房の効いた建物の位置が分かり、計画的に行動できます。

着物の種類も夏のイベントでは重要です。浴衣はもちろん、絽や紗などの夏着物は通気性が良く、見た目にも涼しげです。特に麻の着物は吸湿性と速乾性に優れているため、汗をかいても快適に過ごせます。色や柄も涼しげな印象のものを選ぶと、見た目からも涼しさを感じられます。

帰宅後のケアも忘れずに行いましょう。夏のイベントで着た着物は汗を吸収していることが多いため、早めにクリーニングに出すことをおすすめします。特に汗は時間が経つと黄ばみの原因になるので、専門の汗取りクリーニングを依頼するとよいでしょう。

このように、事前の準備と当日の工夫を組み合わせることで、夏の着物イベントを快適に楽しむことができます。暑さに負けず、日本の夏ならではの風情ある着物姿でイベントを満喫してください。

夏に着物は暑いが快適に着こなすポイント総まとめ

  • 絽・紗・麻の三種類が代表的な夏用着物素材である
  • 絽は縞状の穴が特徴で通気性が良く夏の正装に適している
  • 紗は全体的に目が開いており透け感が強く涼やかな印象を与える
  • 麻は吸水性と速乾性に優れ汗をかいても肌に張り付きにくい
  • 着付け前に部屋を20℃前後に冷やしておくと快適である
  • 補正には大判ガーゼを使うと熱がこもりにくく汗も吸収する
  • 冷却シートを首筋や脇の下に貼ると効果的に体温を下げられる
  • 帯板や帯枕はヘチマや麻、メッシュ素材を選ぶと通気性が良い
  • 長襦袢も夏用の絽や紗、麻のものを選ぶと涼しく着られる
  • 制汗剤やベビーパウダーを使用すると汗による不快感を軽減できる
  • 扇子や日傘は直射日光を避け体感温度を下げる必須アイテムである
  • 暑い時間帯(13時~16時)を避けてイベントに参加するのが望ましい
  • 水辺で行われるイベントは体感温度が下がり快適に過ごせる
  • 熱中症予防のためこまめな水分補給を心がけることが重要である
  • 帰宅後は汗を吸収した着物を早めにクリーニングに出すべきである
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